ナイトミーティング 演者・世話人代表からのメッセージなど

(A) ナイトミーティング第1部 (ナイトセッション): 18:00 〜 19:20

(1) 一般セッション: 会場;「A会場」 セミナー形式

1

柴田 康行 氏

(国立環境研究所)

「POPs条約を巡る国際情勢」 

PCB,DDTやダイオキシン類を含む残留性有機汚染物質(POPs)から人の健康や環境を守るためストックホルム条約が締結されて昨年5月に発効し、本年5月に第1回締約国会議がウルグアイで開催される運びとなった。本条約では、対象物質の使用廃絶あるいは環境放出の削減を目指して、発生源情報やストックパイルの把握、分解方法の確立、さらには環境モニタリングデータを用いた条約有効性評価メカニズムの確立など、様々な取り組みが各国、さらには地域的、国際的レベルで求められている。こうした動きの概要を、締約国会議の様子を含めて報告する。

2

中里 哲也 氏・田尾 博明 氏

(産業技術総合研究所)

「土壌中重金属分析の現状と展開 ―重金属の形態を探るには?―」

土壌中の重金属の分布、移動性、および生物への可給性は土壌中の形態に依存するため、土壌中金属の形態を知ることは非常に重要です。今回の講演では、上の問いに対する答えのヒントを提供することができる金属の形態分析法について、最近の研究動向と、我々が現在開発を進めている、ICP分析法を用いた土壌中金属の形態を迅速に把握できる手法を紹介します。この話を"出汁(だし)"に加えて頂いて、講演後に開かれる分析技術のナイトディスカションがオイシク展開されれば幸いです。

3

関澤 純 氏

(徳島大学)

「リスクアナリシスとは何か−リスク評価とリスク管理の接点で 必要なことについて考えよう」

今皆さんはさまざまなリスク要因(環境中・作業現場や食品中の有害物質、交通・原子力発電など社会生活基盤における事故など)に囲まれています。これまで事故や疾病・死亡が起きてから2度と繰り返さないとして対応が進められてきましたが、現在は十分とはいえないまでも、個々のリスク要因の発生原因・危害の発生確率と重篤度を予測する知識が蓄積されています。事故が起き、人が死ぬ前に、危害のリスクを予測し、適切な対応策を立てることが可能です。さらにこれまで行政や専門家に任せてきたリスク対応を社会の構成員の協力によりコミュニケーションを基盤により良く進めるリスクコミュニケーションが21世紀のキーワードです。

(2) 若手セッション: 会場;「B会場」 セミナー形式

1

奥村 為男 氏

(大阪府環境情報センター)

「環境分析30年を振り返って」

30年と言うと、私の人生の約半分に相当する。従って半生を化学物質の分析法の開発や環境調査に費やしてきたことになる。若者諸君よ。仕事に限らず、遊びも今のうちだよ。最近、つくずく感じるのは体力、気力と精力の衰えである。それに記憶力の低下も著しい。メガネを探すのに、1日の大半を費やしていると言えば大げさだが、メガネを探すメガネが欠かせない昨今である。若い時には、ガムシャラにやってきたもんだ。その内容についてお話ししたい。

2

加藤 みか 氏

(横浜国立大学)

「ダイオキシン類等POPs汚染の効率的な測定・調査と対策技術」

ダイオキシン類等の迅速な汚染実態の把握および汚染防止対策を進めるために、我々の研究室で取り組んでいる研究の全体像と下記の研究についての成果を紹介したいと思います。(加藤)
  ・ダイオキシン類等POPs汚染の効率的な測定・調査方法の開発と応用
  ・低濃度PCBs絶縁油等の各種POPs廃棄物の安全・確実な分解処理技術の開発

3

中田 晴彦 氏

(熊本大学)

「沿岸生態系における有機フッ素化合物の生物濃縮と環境動態」

有機フッ素系界面活性剤は、優れた撥水・撥油性を有するため、建材のコーティング剤や衣類・カーペット等の防水・防汚剤などに使用されてきましたが、一方で地球規模での汚染と生態系への影響を引き起こす化学物質としての懸念が高まっています。本研究は、有明海の干潟域と浅海域より採集した水質・底質・生物を対象に5種類の有機フッ素化合物の分析を行い、汚染現状の解析と沿岸生態系におけるこれらの蓄積特性について考察を行いました。今回は、分析結果に加え有明海でのサンプリング風景やそのユニークな生態系についてもお話したいと思います。

4

金谷 優 氏

(神鋼環境ソリューション)

「PCBの処理技術と評価」

弊社では、数年前からPCBに代表される有機塩素系化合物の脱塩素化無害化処理技術をはじめ、トランスやコンデンサなどのPCBを使用した電気機器の一貫処理技術、PCB・ダイオキシン類汚染土壌処理技術等の開発と事業化に取り組み、これまで阪神溶接機材株式会社でPCB油自社処理事業を実施したほか、これまでに日本環境安全事業株式会社(JESCO)の豊田並びに北海道のPCB無害化処理事業を受注してきました。ナイトミーティングではこれまでの実績をもとに弊社が取り組んでいるPCB無害化処理事業の概要とそれに分析技術がどのように関わっているかを説明します。

5

渡邉 泉 氏

(東京農工大)

「今, 重金属・微量元素研究, そして環境化学に望むもの」

昨今の環境化学において、重金属・微量元素研究の割合は少ないですね。2004年にはナイトミーティングの項目からも消えました。なぜか?個人的に考えますに、歴史的・思想的背景に加え、なんと言っても他物質に比べ“敵”を明確にできない点、これとリンクしたバックグランドの扱い、そして魅力的な研究フィールドの認知・提示不足が挙げられましょう。ここで、頂いた機会を利用し、以上の点、なかでも後者の可能性として野生生物の研究例を紹介しフィールドとしての「重金属・微量元素」の魅力及び問題点に触れたいと思います。つづく2部以降の話の種として気楽に聞いて頂ければ幸いです。

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(C) ナイトミーティング第2部 (ナイトディスカション) 19:40 〜 21:30

 グループ  分類  対象テーマ  世話人代表
 1
 分析技術 LC/MS ・PFOS・農薬・有害化学物質

環境分析におけるLC/MS利用の現状と将来、つまり今何ができて、将来何ができるようになるのか、あるいは日常の利用に際しての疑問点や対処法など、いろいろな角度からLC/MSを眺めながら、楽しい一時を皆さんと過ごしたいと考えています。関心のある方の参加をお待ちしています。

 鈴木 茂
 2
 分析技術

消毒副生成物・VOC

法律によって『規制されている』または『規制されていない』塩素消毒副生成物・VOCにはどんなものがあるか? そこのところが知りたい。日本環境化学会は、どのような調査・研究に向かうべきかと討論しよう。

 小野寺 祐夫
 3
 分析技術

微量元素と形態別分析・有機金属

かの和歌山の毒入りカレー事件では、無機ヒ素(亜ヒ酸)が悪用されたと言われており、一方、昆布、わかめ、ひじき等の海藻類中には比較的高濃度のヒ素が糖類の形で含有されており、食用にも供されている。このように、微量元素の化学形態により毒性や生体内、環境中での蓄積や動態などに大きな変化があることはよく知られている。このような状況下で、微量元素の高感度分析の開発・発展とともに、微量元素の形態別分析の重要性が増している。当グループでは、微量元素の定量や形態別分析などの環境分析におけるホットな話題を中心に活発な議論を展開したいと願っています。事前準備を含めて、その場での話題提供を歓迎し、さらに当日の議論に積極的にご参加されますように大いに期待します。

 中原 武利
 4
 分布・動態

大気汚染(ガス・粒子, VOC, 重金属, 酸性雨, PM 2.5)

「化学物質による大気環境の変質」
京都議定書採択から7年余り。地球温暖 化の影響は想像以上に深刻であり、議定書が発効した今、まったなしの対応が迫ら れている。このような地球規模の大気環境の変質に加えて、身近な地域汚染も必ず しも低減化していない。現在の大気環境をとりまくホットな諸課題について、話題 を提供し、議論を展開したい。例:ガス・粒子の特性、秒読みに入ったVOC排出 濃度実測,有害大気汚染の現況、重金属の循環過程、酸性雨はpH5.6以下の雨では ない、ディーゼル排ガスとPM2.5、他

 玉置 元則
 5
 分布・動態

廃棄物関連等

廃棄物関連の分析では溶出毒性の観点から溶出試験が主に行われ、とにかくばら つきの大きいことが問題とされてきました。現在の話題はJIS規格が進められて いる廃棄物由来の再生材の環境安全性(溶出リスク)があります。一方で土壌汚 染や不法投棄に関連して、汚染源としての廃棄物の特定といった極めて行政対応 型の分析も求められます。廃棄物のリサイクル促進のもとで新たな環境問題は起 こらないであろうか、また分析化学的な観点からの廃棄物分析の問題・精度管 理・簡易分析法などなど、広範囲な廃棄物問題解決のための分析に対応するため の情報を共有したいと考えています。ナイトミーティングでの新グループ「廃棄 物関連」では、初めての会合であり焦点は絞らず参加者の情報交換の場とします ので、質問・話題提供を持ち寄り議論を深めましょう。

 貴田 晶子
 6
 分布・動態

農薬・環境ホルモン

“SPEED’98”から”ExTEND2005”へ;従来の優先65物質の枠は無くして、より広範な化学物質と野生生物の異変の関係を解明しようとしています。このような方針転換にあって、“環境化学”の分野として内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)問題にどのように対処したら良いのか。これまでの経験や成果を出し合いながら展望しませんか。もちろん、日常業務で困っている農薬・環境ホルモン問題も大歓迎です。本音で大いに語らいましょう。

  奥村 為男

 佐々木裕子

 7
 分布・動態

有機臭素化合物

ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)やヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)など有機臭素系難燃剤や臭素系ダイオキシン類は、近年、環境汚染物質として国内外で大きな関心が寄せられています。しかし、分析法の困難さもあり、排出源、環境中レベルや生体汚染など環境省等の調査で少しずつは明らかにされてきていますが、まだ十分解明されているとは言えません。当グループでは、有機臭素化合物の分析法や国内外の研究動向など、今後取り組みたい方も交え、お互いに情報交換したいと思っていますのでふるってご参加ください。

 渡辺 功
 8
 分布・動態

POPs・Future POPs・PFOS

POPs廃絶に関するストックホルム条約には新規POPsを追加する仕組みが備わっており、有機臭素系、有機フッ素系を初めいくつかの物質がその候補として取りだたされている。本小グループでは海外の情報も含め、今後の環境監視のターゲットとなりうるPOPs候補物質の分析と環境動態について、情報交換、意見交換を進めたい。

 柴田 康行 
9-a
 9-b 
9-c
 分析技術・分布・動態

PCB問題・環境レベル

PCB分析を行っている方、最近の環境中PCB濃度やPCB処理に興味のある方、お集まり下さい。PCB濃度は次第に減少傾向にはあるようですが、農薬系POPsと比べると濃度低下の速度は遅いように思えます。本格的なPCB処理が始まりましたが、処理が完了するとPCB問題は解決するのでしょうか。一緒にお話ししませんか。

 野馬 幸生
 分布・動態

PCB代謝物(水酸化PCB等〜PCB問題の続き)

古くて新しいPCB問題。生体内でのPCBの挙動や毒性発現メカニズムの上で重要なPCB代謝物。最近では、環境中にも存在している可能性が指摘されています。このPCB代謝物について、様々な情報交換をしませんか?多方面の方々の参加をお待ちしております。

 先山 孝則
 生態影響評価

PCB 曝露評価−PCB生体影響とそのレベル

母乳、血液など、最近の生体内残留レベル(異性体別)の動向や、non dioxin-likeなPCBの毒性について、情報交換、意見交換を やりたいと思います。気軽に、ご参加ください。

 堀 伸二郎
 10-a
 10-b
 分析技術

Dioxin簡易分析

ダイオキシン類の簡易分析法は、環境省、国土交通省から示されおり、また、研究機関等から提案されている。本ミーティングでは、簡易分析法の問題点、ニーズ、今後のあり方について、忌憚のない意見交換をしたいと考えています。メーカー、分析機関、関係の機関等の方々の参加と話題提供をお待ちしています。

 伊藤 裕康
 分布・動態

Dioxin環境レベル・分布・動態から暴露評価への応用まで

このグループでは、ダイオキシン類の調査結果から、環境レベル、分布、動態、また、暴露評価への応用などについて、データの扱い、異性体組成、精度や代表性など各種の観点から経験を共有することを目指します。

 鈴木 規之
 11
 処理技術・無害化

ニュー エンドパイプ パラダイス

環境技術は、かつてのような大量処理を主とする段階から、特定、微量かつ多様な含有化学物質に着目し、しかも物質としての存在量だけでなくリスクなどの影響面から評価する場合が増しています。このような新しい技術のあり方をニュー エンド-パイプ技術と名づけ、自由気まま(かって?)に議論する場(パラダイス)とします。

 川本 克也
 12
 毒性・生体影響

有毒化学物質・毒性・生体影響

環境汚染物質の評価として、物質の量を濃度や重さで測ることと生体への影響の程度を測ることとの間でいろいろな問題が出てきています。物質の濃度と生物活性とは相関しない場合、アゴニストとアンタゴニストが共存する混合物の生物活性など、問題点と考え方を出し合い、盛り上がりましょう。

 彼谷 邦光
 13
 分析技術・影響評価

分析技術・影響評価 バイオアッセイ

ダイオキシン類のバイオアッセイは、簡易公定法として採用検討の途にあります。モニタリングへの効果的な用い方、技術的課題、精度管理、新規導入へのアドバイスなど話題、経験談を酒の肴としてご提供お願いします!

 滝上 英孝
 14
 環境・健康リスク

リスク評価・管理・コミュニケーション

「リスク評価・管理・コミュニケーションの基礎から応用まで『今週のわからん?』について、ともに考え、大いに"リスク通"になって学会から帰りませんか?」私たちはさまざまなリスク要因(環境中・作業現場や食品中の有害物質、交通・原子力発電など社会生活基盤における事故など)に囲まれています。これまで事故や疾病・死亡が起きてから2度と繰り返さないとして対応が進められてきました。しかし現在では十分とはいえないまでも、個々のリスク要因の発生原因・危害の発生確率と重篤度を予測する知識が蓄積されています。すなわち事故が起き、人が死ぬ前に、危害のリスクを予測し、適切な対応策を立てることが可能です。さらに従来、行政や専門家に任せてきたリスク対応を社会の構成員が協力しより良く進めるリスクコミュニケーションが21世紀のキーワードとなっています。

 関澤 純

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